古典的自由主義のために広範な著述や講演をおこなった。 ミーゼスは、オイゲン・フォン・ベーム=バヴェルクの主観理論を通貨や銀行信用にも適用し、「貨幣と銀行信用の理論」(1912)では、通貨の価格あるいは購買力は、需要と供給によって定まるが、その需要は通貨の直接効用でなく、通貨の購買力によって決定されるという循環論法を解決した[2]。ミーゼスは、通貨への需要は、現在の購買力によって決定されるのではなく、経済主体が過去に経験してきた通貨の購買力に関する知識に基づく。その過去の購買力は、それ以前の購買力に基づく通貨需要によって決定される。こうしたプロセスは、最初に特定の物質(金銀など)が交換媒体として需要された時にまで遡る[2]。このミーゼスの遡及定理は、カール・メンガーによる貨幣発生の進化理論を、過去に適用したものであった[2]。 経済計算論争などで計画経済を鋭く批判したことで知られている。ミー