第100回:東洋の魔女なんだーこの映画!というのが、観ている最中の正直な感想だった。ものすごく、良い意味で。これはびっくりの現代アート的傑作である。 タイトルの「東洋の魔女」は、1964年の東京オリンピックで優勝した日本の女子バレーボールを指している。長くつらい戦争が終わってまだ20年も経っていなかった時に、圧倒的な体格をほこる強豪ソ連チームを追い詰め、ついには倒した彼女たちの雄姿に、日本人は歓喜し熱狂した。 1964年の東京五輪で活躍した日本女子バレーボールチーム「東洋の魔女」「東洋の魔女」を率いたのは大松博文という監督で、のちに参議院議員にもなった。大正生まれの戦中派である大松は陸軍に召集され、南方を転戦。死屍累々の悲惨な戦場となったことで知られるインパール作戦からの数少ない生き残りの一人である。戦後、ニチボウ貝塚工場の女子バレーボール部監督に就任し、ものすごい特訓で強靭なチームに仕立