日本の城を知り尽くした城郭ライター萩原さちこさんが、各地の城をめぐり、見どころや最新情報、ときにはグルメ情報もお伝えする連載です。今回は秋田城です。天守がそびえる一般的な城と趣が異なるだけでなく、奈良時代の水洗トイレまであります。しかもトイレの遺物からは、意外な事実が明らかになっているのです。 広大な敷地に、不思議な城門と城壁が突如として現れる。城と聞いてやって来たのに、なにやら違和感のある空間だ。そう、秋田城は7〜11世紀、東日本に築かれた「城柵」の一つなのだ。城といっても、天守がそびえる城とは築かれた時期も姿もまったく異なる。 城柵とは奈良時代から平安時代にかけて、律令国家が地方支配の拠点として設置した軍事・行政施設だ。 <桃太郎伝説の舞台、よみがえった古代山城 鬼ノ城>に登場した古代山城が北九州や瀬戸内海沿岸に限定して築かれたように、城柵は東日本に限定されて築かれた。大和朝廷による越