政府主導の「グローバル人材育成」の一環として、東京五輪が開催される2020年に “使える英語力育成” に向けた動きが加速し、小中高の英語教育、大学入試が大きく変わる。だが改革の根底にある発想に根本的な問題がある。 「日本人の英語」についての常套(じょうとう)句は、「グローバル時代だから英語を使えなければ困る」「でも日本人は相変わらず英語下手」「日本人が英語を使えないのは、学校で教える英語が文法訳読ばかりだから」「英語を話すことをもっと教えるべきだ」に集約される。会話中心の英語教育に変革されて30年近くたつのに、この見方は一向に変わらない。本稿では、日本人の英語を考える一助として、「使える英語」を目指して繰り返されてきた英語教育改革と、その結果が招いた危機的状況について考察したい。 政治主導の学校英語教育改革 日本の公立小中高等学校での教育は、「学習指導要領」という文部科学省の告示で内容が定
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