ギラン・バレー症候群(GBS)という病気をご存じだろうか。急に四肢に力が入らなくなり、重症化すると、まひなどの障害が残ることもある厚生労働省指定難病だ。以前、俳優の大原麗子さんや安岡力也さん(いずれも故人)、川口順子元外相ら著名人の闘病が公になり、病名を耳にした人も多いはず。詳しい原因は不明だが、ありふれた細菌やウイルスの感染がきっかけとなり、体を守る免疫機構が誤って自分の末梢神経を攻撃してしまうことで引き起こされるらしい。早期に診断し、症状がピークの時期を適切な治療で乗り切ることが回復の鍵を握る。 ▽危険な状態 東京都八王子市に住む田丸務さん(69)が自宅近くの大学病院に緊急入院したのは、2001年6月のことだった。その朝、出勤の準備で鏡をのぞくと像が二重に見え、ひげをそる手は次第に力が入らなくなった。 病院での検査中にも症状は進んだ。ろれつが回らなくなり、呼吸も苦しくなって人工呼