岐阜薬科大と神戸大などの研究グループは14日、脳内にある遺伝子・ジアシルグリセロールキナーゼβ(DGKβ)が記憶や認知機能に深く関連していることが新たに分かったと発表した。正常なマウスとDGKβが欠けたマウスとでは記憶力に明確な差が出たという。15日付の米科学誌「PLoS ONE」電子版に掲載される。 DGKβは、学習や記憶にかかわる脳の「海馬(かいば)」と呼ばれる部分に多く存在する。細胞内で情報伝達などをする別の遺伝子の働きを調節する機能があることは知られていた。 研究グループは、DGKβを持たないマウスを作ることに成功し、正常なマウスと行動を比較した。透明の台を水面の少し下になるようにプールに入れたところ、正常なマウスがすぐ台の位置を覚えて上に乗ったのに対し、DGKβのないマウスの約4割は台の位置が分からず戸惑っていた。神経細胞の形状の発達にも変化がみられたという。 岐阜薬科大の原英彰