働きながら介護をする人が、会社に転勤を命じられ、苦境に立たされるケースが目立っています。景気の悪化で今後、事業所の閉鎖や統廃合が進めば、異動に応じられない社員が出ることも予想されます。仕事をあきらめざるを得ないのか−。厳しい局面で社員に孤立感がつのります。(清水麻子) ・初の外国人介護福祉士候補生が就労 「え?。転勤ですか…」 認知症の妻(58)を介護しながら、情報機器販売会社に勤務していた京都市の芦田豊実さん(60)は一昨年11月、会社から東京に転勤を言い渡され、頭の中が真っ白になった。 妻の節子さんは当時から認知症で、数分前の記憶が残らず、衣服の脱ぎ着から炊事や掃除などの家事まで一切、ひとりではできなかった。要介護度は3。 妻を置いて単身赴任はできない。かといって、妻を連れても行けない。慣れた介護スタッフ、医師など、ケアのネットワークががらりと変われば、状態が悪くなりかねない