◇山田孝男(やまだ・たかお=毎日新聞政治部専門編集委員) ノーサイド(no side)と無節操は紙一重である。野田佳彦新首相は党内にノーサイドを呼びかけ、政官協調、与野党協調を訴えた。だがそれは、大義なき挙党態勢、元の木阿弥の官僚支配、民主党の臆面もなき自民党化とどう違うのか。なんとなく円満というだけで日本の明日が開けるか。新首相はこれらの疑問に答えなければならない。 引き続き政策選択の最大の論点である原発を手がかりに、野田政権の前途を考えてみよう。 ◇官も民も言い出せない 脱原発派は言わずもがな、原発推進派にしても、福島原発震災が日本の技術の問題点を暴いたという事実は認めるだろう。産・官・学にマスコミを加えた原発推進共同体が、根源的な危険や未解決の問題に目をつぶって(あるいは気づかずに)暴走してきた。その実態に、ようやく国民が気づいた。この点についても議論の余地はなかろう。 にもかかわら