グローバル化を巡る議論で、同一労働同一賃金への収斂といった平準化がよくクローズアップされますが、グローバル化は必ずしも平準化だけを引き起こすわけではありません。グローバル化を単純に熱力学の第二法則に譬えるのは正確ではなく、むしろ生物学の棲み分けに譬えるのが適当です。 生物の棲み分けとは何でしょうか。 野原にある植物を観察すると、似通った植物は同所的に生えていないことに気付きます。これは、似通った種は、同じ環境を好み、それらが同じ場所に生息しようとすれば、異種間競争が起きて、比較優位な種だけが生息する状況に収斂するからです。 このような競争を生物学ではニッチ(生息環境)の奪い合いと言います。 しかし、それでも野原にいろいろな植物が見られるのは、野原にはいろいろな環境が存在するからです。例えば高い草の影には日陰を好むの植物が生えたり、スミレなど草丈の低い草は、春先だけ、地表に光が届くのを利用し