『人殺しの息子と呼ばれて』(張江泰之/KADOKAWA) 子どもは親を選べない――。この言葉の重みは、“彼”が一番理解しているかもしれない。 2002年、北九州連続監禁殺人事件がメディアで報じられた。この事件の主犯が、松永太死刑囚と緒方純子受刑者だ。その凄惨さは日本の犯罪史上でも類を見ないほどで、報道規制がかけられた。ネット上で調べるといくらでも出てくるだろうが、目にしない方が賢明だろう。 ぞっと悪寒が走るような事件の裏で、ある子どもたちが警察に保護されていた。松永と緒方の、兄と弟の息子2人だ。 『人殺しの息子と呼ばれて』(張江泰之/KADOKAWA)は、フジテレビ『ザ・ノンフィクション』のチーフプロデューサー・張江泰之さんが、この番組の収録で兄に行ったインタビュー内容をありのままに記した1冊。人殺しの親から生まれた“彼”が体験した壮絶な人生と、25歳の青年になった今だからこそ抱く思いに、