避難先の住宅で言葉を交わす福島敦子さん(右)と亜美さん(中央)、嵯都さん母子=京都府木津川市で、加古信志撮影 「私たちのような自主避難者は、『いないこと』にされてしまう」。東日本大震災と福島第1原発事故(2011年3月)後、福島県南相馬市から京都府木津川市に娘2人と自主避難している福島敦子さん(44)は語気を強めた。 福島県は昨年、自主避難者への住宅無償化を17年3月に打ち切ると発表した。自主避難者への唯一とも言える公的支援が消滅することになる。これにより、経済的に苦しい人は福島の自宅に帰還せざるを得なくなることが予想される。「帰還者が増えると、見かけだけは被災地の復興が進んだように見られてしまう。帰還しない自主避難者の実態も見えなくなる」と危惧する。 毎日新聞と関西学院大災害復興制度研究所などが行ったアンケートでも、近畿に避難する人の約6割が行政に求める支援に「家賃補助の継続」を挙げた。