昭和を代表する作家・演出家、寺山修司さんの評論集、戯曲、映画のタイトルとして一世を風靡(ふうび)した作品に『書を捨てよ、町へ出よう』がある。本書はさしずめ“ネットを捨てよ、町へ出よう”のイメージか。とはいえ、ネットを捨てろとは言っていない。ネットが当たり前になった今、ネットだけでは情報収集は語れない、とのスタンス。寺山さんとは違って本を読めと書いている。そして町へ出よう、と。正確に言えば“ネット偏重を捨てよ、町へ出よう、そして本を読め”と説いているのが本書だ。 週刊誌、情報誌で編集者やライターを務めてきた著者が、自らの取材経験を通してネットに頼り過ぎることの危険性や、実社会での情報収集・処理の重要性を訴える。著者は1972年生まれ。記者としては、新聞社で言うと現場責任者にあたるキャップクラス。若いビジネスパーソンにとっては、年齢が比較的近い先輩の良きアドバイスになるだろう。 著者より10年