8月30日に、政府・日銀が金融緩和政策と経済対策を公表したが、その効果は1日と持たず、円相場は円高に振れた。世界的に見ても、経済成長率は低く、政府は膨大な債務を抱え、政治は混乱している。本来なら、円が売られる要因を抱えていながら出現した「おかしな円高」は、なぜ起こったのか。まずは、今回の円高の要因を整理してみよう。 第1の要因は、アメリカの短期金利の低下が、長期金利の低下にまで波及し、日本の実質金利が高くなってしまったことだ。8月には米FRB(連邦準備制度理事会)が、保有するモーゲージ証券などの償還資金を、米国債の購入に当てる金融緩和政策を維持することを決定し、長期金利の低下が進んだ。 プロの投資家たちは、名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利を基準にしてマネーを動かす。ごく大雑把にいえば、日米の名目の短期金利はほぼ0%で同じ。にもかかわらず、米国のインフレ率は2%弱で、日本はマイナス
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