今日の私達はかなり単純で、軽薄な価値観や歴史認識に取り巻かれている。その一つは「成功することがこの世での最高の価値である」というものだ。これをしゃれた言葉で言えば「アメリカン・ドリーム」ということになろうか。この価値観は、一旦、失敗したり、挫折したりすると、容易に「自己否定」「自虐史観」に変わってしまう性質をもっている。要するに、「結局は失敗したんだから、すべては無駄だった、間違いだった」と。 西郷隆盛は、つい最近まで、多くの日本人の心を捉えてきた人物なのだが、「成功が全て」という価値観に立つと、その人気の理由が理解できない。たしかに、大まかに見れば、前半生は「大成功」だったとも言えるが、後半生、特に最後は悲劇である。だから、「成功が全て」という価値観では、西郷さんに対する根強い人気の秘密は分からない。 しかし、少し立ち止まって考えてみると、私達の先祖は「善か、悪か」「成功か、失敗か」「有
![今、西郷隆盛について学ぶ意義(『祖国と青年』平成16年2月号) | 新田均のコラムブログ](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/38f5b304e564b2159da258d4087ac76c44cee703/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fpds.exblog.jp%2Flogo%2F1%2F200604%2F05%2F19%2Fb007141920061004001407.jpg)