戦争が比較的シンプルなものだった時代の感覚 戦争が今のように政治や経済、イデオロギーや宗教、少数民族問題や資源問題など複雑な問題を含むものになる前、18世紀の戦争はもっと戦争はシンプルなものでした。 ヨーロッパで行われる国家間戦争は、簡単に言うと領土と王権をめぐる戦いでした。自分の息のかかった、ないし影響力の強い一族や近親者を他国の国王に就かせようとするという目的と、富裕な工業地域や戦略的要衝を獲得するということをほぼ同一的に捉えており、国の発展と王族の名誉が同一視されていたような感覚です。 その典型的な戦争のサンプルとして、今回はオーストリア継承戦争と続く七年戦争を解説します。この戦争はオーストリアの王位をめぐる他国の介入に始まり、領土をめぐる因縁から泥沼の戦いに入り、それが他国の介入を招いて新たな戦争を誘発していくことになります。 1. マリア・テレジアの即位と列強の介入 オーストリア
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