うつ病は、近代社会を象徴するような病気であり、例えば、放射能の危険に似ている。 船に乗れば遭難するかもしれない、車に乗れば交通事故にあうかもしれない……というわかりやすい危険ではない。色も匂いもなく、認識できないままに身体が破壊されていくのが放射能汚染の脅威だ。 放射能のような危険は、専門的な知識と測定器なしには認識することすらできない。 認識できなければ、当然ながら対処することもできず、命を落とす。 「知識がなければ認識できないもの」が私達の生活を脅かそうとしていることを、まずは「認識」するべきだ。うつ病はそれを代表するものの一つと言っていい。 現代人は誰もがうつ病の脅威に晒されているし、それは自動車事故みたいな「わかりやすい」ものとは別の危険な性質を持っている。 不眠とうつ病 (岩波新書) 作者: 清水徹男出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2015/08/21メディア: 新書この商
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