「勝てば官軍、敗(ま)ければ賊軍」-誰もがおなじみの古い格言ですが、これはいまなお真理である。6月3日付本欄で、櫻田淳氏はそう喝破しておられます。戦いに勝った者は、自分たちの「歴史認識」を掲げる権利をうる。それに不満があるなら次に勝てばよい。櫻田氏の提案は実に明快です。 ≪「勝てば官軍」超えた問題≫ もちろん櫻田氏は、だからすぐにも戦争をせよ、などと言っているのではありません。それは「経済、産業、技術上の優位の維持、さらには対外広報・文化・芸術・スポーツなどを通じた対外影響力の確保という意味の『競争』を含む」のだと氏は述べて、現在の安倍晋三政権が推し進めている「平成版『富国強兵』路線」は、そうした総合的な「勝ち」を目指すものであり、焦って〈歴史認識合戦〉などする必要はないのだ、と説いておられます。まことにもっともな見解といえるでしょう。 ただし問題は、それがいかに途方もなく難しいものである