「双子の赤字」が国力を大きく低下させるのか このところ、大手マスコミを中心に、日本の経常収支赤字を「国力の低下」の証として悲観的にとらえる傾向が高まっている。 もっとも、日本の経常収支は必ずしも赤字が恒常化している訳ではない。最近の季節調整済みの経常収支を見ると、昨年11月に1,068億円、今年1月に5,883億円の赤字をそれぞれ記録したが、それ以外はほぼ一貫して黒字で推移している。 1月の経常収支赤字も旧正月要因による輸出の一時的な急減が招いたものなので、2月は大幅に改善することが期待される。2013年度が通年で経常赤字になる可能性は低いだろう。 ところで、経常収支赤字が忌み嫌われるのは、財政収支赤字との「双子の赤字」が国力を大きく低下させるという考えが強いためである。これは、1980年~90年代にかけての米国経済が双子の赤字を拡大させる中、国力が大きく低下し、「覇権国」の地位を失いかけ