国民学校の軍国主義教育は、修身や音楽だけではなく、すべての学科に於いて明らかになった。この期の教師への指導要領には、例えば国語にあっては3項目を目標にせよと挙げられていて、その一項には、「他教科と相まって政治・経済・国防・海洋等に関する事項の教授に留意すること」となっている。 富士山も「日本一の山」から「たふといお山 神の山」に こうした教科書の特徴として、『教科書の歴史』(唐澤富太郎)によるならば、「この時代の国家主義が、単なる国家主義の域を越えて超国家主義となり、日本は神国であるという立場から教育するようになった」ということができた。国民学校の5年生、6年生の教科書には、およそ95%が超国家主義的な内容であった。そういう教科書の内容はどのようなものだったのか。例えば5年生の国語には、「大八洲」というページがあるが、そこには次のような内容が書かれている。 「この国を 神うみたまひ、 こ
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