Lesson620 引き際の美しい人 別れに際して、 執着したり、恨んだり、 ズルズルいつまでも引きずる人と、 哀しんでも、潔く、清々しく、 次の一歩がさらに自分らしい人と、 どこが違うのだろう? 先日、「あ、そっか!」と 腑に落ちることがあった。 恋人との別れを経験した ある社会人男性の話を聞いたのだ。 プライバシーに抵触しないよう、仮に、 潔人さん(キヨトサン)とし、改変を加えて話そう。 潔人さんにとって、 ツラく、痛く、やるせない別れであったことは まちがいない。 相手の女性は、 人生でいちばん愛した人で、 相手も人生でいちばん愛してくれたという。 おたがい、心から好き同士の、 似合いの素敵なカップルだったのだろう。 潔人さんは、職場で理不尽な目にあっていた。 潔人さんはそれを誰にも言うことができず、 ひとり、棒を飲むようにして、ぐっと我慢した。 「自分さえ我慢すれば‥‥」 それで