1990年以降に制定された諸国憲法の動向ーいくつかの項目との関連を中心に (テキスト版) 『駒澤法学』創刊号より *本稿は提出原稿であり、最終的に若干の修正がある。 西 修 1.はじめに 1990年以降に制定された憲法をその成立経緯から大きく分類すれば、以下のように指摘することができよう。 まず第一に、社会主義憲法体制の崩壊にともなって新しく生まれた憲法群である。すなわち、1989年11月におけるベルリンの壁の瓦解に端を発した1991年夏のソ連邦解体は、世界の憲法地図を大きく塗り替えた。ソ連邦の解体は、14の独立国家を誕生させた*1。その影響を受けて、ユーゴスラビアでは、5つの共和国*2に分裂し、チェコスロバキアでも2つの共和国*3を生みだした。これら新装なった諸国の憲法は、いずれも従来の社会主義体制を放棄した。 社会主義憲法体制からの逸脱という点では、アフリカ諸国にも影