いま、流通している福島県産の食材を避ける理由は科学的にはまったくない。しかし、どんなに微量であっても、事故前には存在していなかったはずの放射性物質を食べたくない、放射線を浴びたくないという人たちの気持ちもよくわかります。 内部被曝の問題は、リスクと生活の兼ね合いというのをもう考えてもいい時期に入っていると思います。大事なのは、バランスです。 例えば、個人的には、放射線量が高い傾向にある山菜だって、食べても構わないと思うんです。出荷制限がかかっているので当然、出荷はダメだけど、個人でとってきて、責任をもって食べるならいいんじゃないかと。 (※前編参照「出荷制限がかかるような食品を食べたからといって、実は心配されるような線量には達していないんです。これが重要なことです」) 住民の方と話していると、山菜を食べることで得られる生活の充足感ってすごくあるんですよね。 飯館村のある区長さんから、食べて
2017.03.10 Fri 物理学者・早野龍五が福島で示した光――研究者として福島に向き合うということ 服部美咲 / フリーライター 東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故の後、様々な情報や意見が錯綜し、多くの人々が信頼できる情報を求めた。その中で、15万人以上の人々が信頼をおいたのは、Twitterアカウント「@hayano」が淡々と発信する確かな根拠を付したデータとそれに基づいたグラフだった。 そして情報発信の合間に挟みこまれる、事故前と変わらない穏やかな日常を描写する「つぶやき」を読んで、自分自身の落ち着きを取り戻す人も多かった。Twitter上での情報発信にとどまらず、現場に赴いて日々活動を続ける「@hayano」こと早野龍五さんの周囲には、様々な形で賛同する人々が集まった。 今年3月、長年勤めた東京大学を退官する早野さんの最終講義を前に、事故後6年にわたる早野さんの功績とそ
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