「芸術は爆発だ!」 力強いことばと、それを体現したような作品で、今なお、多くの人に影響を与え続ける芸術家・岡本太郎。 「岡本太郎が20代初めのときに描いた幻の絵画が残されている?」 そんな情報を聞きつけた私は、「まさか」と思いながら取材を進めた。その過程で浮かび上がってきたのは、若き太郎の悩みと苦しみ、そして「自分」と正面から向き合い、闘った、真摯な姿だった。 (科学文化部記者 岩田宗太郎) ことし2月、東京都内のとある倉庫に、パリで保管されていたという3点の油彩画が運び込まれた。 到着を待ちわびていたのは5人の専門家。 絵画には、ひらひらとした布のようなものや、どことなく煙のように見える不思議なモチーフが描かれている。 「これ不思議だよね」 「こんな感じは太郎っぽいけれど…」 3点のうち1点には、「岡本太郎」とも読み取れるぼやけた漢字の署名が。 のぞき込む専門家からは、とまどいも感じられ