少し前の話だが、本石町日記さんが服部正也氏著「ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書 290)」*1を読んで非常に面白かったというエントリを上げていた。 実はこの本を小生も持っていたのだが、これまで本棚の奥にしまったままだった。それを今回ふと取り出して読んでみたのだが、確かに面白い。最後の離任のシーンなどは、冒険ダン吉のラストシーンを彷彿とさせた*2。ネットで検索してみても、この本に素直に感動したという感想がいくつも見られる。 ただ、そうした物語的な面白さもさることながら、この本には現代の経済学者、特に国際援助や成長論を論じる経済学者に取って非常に意義のある内容が含まれているのではないか、と思った。現在のその分野では、ローマーとルーカスが内生的成長論を発展させ、スティグリッツがIMFの画一性を批判し、サックスが先進国によるアフリカ援助を唱導し、そのサックスの大上段をイースタリーが批判する、と
2005.01.26 『ルワンダ中央銀行総裁日記』を読んで/日記のようなもの(197) (4) テーマ:最近、読んだ本を教えて!(24155) カテゴリ:日記のようなもの 20年日本銀行に勤めた人が、国際通貨基金からの要請によって、アフリカの小国、ルワンダの中央銀行総裁に就任し、その財政赤字と国際収支の赤字の解消と経済の立直しに、ルワンダの人々と共に、尽力した記録が綴られた本です。 映画や小説が決して持ち得ない事実と思慮と努力の蓄積とその結果が淡々と述べられています。 通貨切下げ。 この言葉の意味を、本を読了した今でも理解できたとは思いません。しかし著者がルワンダ中央銀行総裁着任を要請された時、ルワンダはこの通貨切下げを行うように国際的な圧力を受けていました。 現地に着任後、ルワンダの大統領が著者の家に訪ねてきて、尋ねます。通貨切下げは行わなければいけないのか?その理由は何故か? そして著
今の自分は、出会った人や読んできた本によって、できあがっている あの小冊子は、新聞の付録だったのか、記憶が曖昧で定かではないのだが、1ヶ月に1回程度の頻度で届いていた気がする。オールカラーで内容もさまざまだった気がする。その中には、プロ野球の選手名鑑もあって、私は、母から受け取り、大切にしていた記憶がある。母は、…
現在の日本の置かれた状況をよく考えてみると、数年〜十数年後に大増税を行わざるを得なくなる可能性がけっこう高い。 大増税時代になっても豊かに暮らせるようにするには、今のうちから準備しておかないと、あとで後悔することになることがある。 この記事では、それについてまとめてみた。 トピックハイライト 大増税を回避する政策はあるが、それが実行される可能性が低い理由。 中所得者と高所得者のどちらに大増税されるかは不透明。 高所得者を搾取して遊んで暮らす戦略。 具体的にどの税金を、どのように回避するために、今からどのような準備が必要か。 重い所得税を払わずに逃げ切る合法的な方法 重い消費税を合法的に回避する方法 高収入で贅沢をしても消費税も所得税もかからないようにする方法 税金を全く取られずに生産、流通、消費を行うさまざまなテクニック。 「高所得者に重税をかけると海外へ出て行く」というのは金持ちのポジシ
政策秘書ポストに殺到する弁護士 政権交代を“活用”する弁護士界 弁護士界にとって、民主党圧勝で大量の新人議員が輩出されたのは、まさに渡りに船だった。 9月16日、日本弁護士連合会が開催した政策担当秘書説明会に、司法修習を終え、職を探す新人弁護士など177人が押し寄せた。日弁連が予想した100人前後をはるかに上回る大盛況だった。 背景には新人弁護士の就職難がある。通常、司法修習が終わると“イソ弁”(先輩弁護士の事務所に就職する弁護士)としてキャリアをスタートさせるのが一般的だが、「今年は修習生全体の10%くらいはイソ弁先が決まらない。昨年は2%くらいだった」と1年目の弁護士は語る。司法制度改革で司法試験合格者が大幅に増え、新人弁護士の就職環境は厳しいのだ。 景気悪化でM&Aや不動産証券化ビジネスなどが激減し、弁護士需要が冷え込んだため、大手法律事務所は新人弁護士の採用を絞っている。司
学習院大学経済学部経済学科教授/鈴木亘 「ミスター年金」こと長妻昭議員が厚生労働大臣になって1ヶ月近くがたつが、国民の関心が高い肝心の「年金改革」について、あまり情報が伝わってこない。今のところ、彼が「年金問題」について決断した内容は、1.年金記録問題について、2010年に2000億円、2011年に4000億円を計上し、包括的な照合を行なうシステム作りや一括訂正のための法案整備を行なって、年金記録照合や救済を急ぐこと、2.自公政権下で既に民間人に採用内定を出していた日本年金機構(社会保険庁の後継組織)について、その発足を歳入庁発足までの「つなぎ」として認めたこと、3.日本年金機構と国税庁を合併する「歳入庁」発足を2013年までに行なうこと、という3点のみに過ぎない。 就任当初の混乱があるにせよ、国民が民主党政権によせる期待のかなりの割合は、「年金制度改革」にある。各種世論調査によれば、国民
米国でマクロ経済学を巡る論議が活発になっている。その台風の目となったのは、クルーグマンのNYタイムズ記事(邦訳はこちら)だが、シカゴ大学のジョン・コクランがそれに感情的なまでに反発した反論を書いて、騒ぎがさらに大きくなった。 この論争に関連する記事へのリンクのまとめとしては、Economist's Viewのこのエントリが一番充実していると思われる。 そんな中、かつて経済学の科学と工学の2つの側面について優れた論文を書いたマンキューは、時折り他者の論説にリンクを張ったエントリを上げるのみで、意外なほど沈黙を守っている。ちなみに彼がクルーグマンの記事を紹介したエントリでは「Paul offers up a very nice essay explaining his view of the field」というコメントを添えており、シカゴ派の低評価とは一線を画している。 そのマンキューの最新の
タレブが政権交代により次期首相になるかもしれない人に公開書簡を送った。ただし、日本の話ではなく、英国保守党のデビッド・キャメロン党首への書簡(ワシントンブログ経由)*1。 以下はその拙訳。 親愛なるデビッド(そう呼ばせて頂けるならば)、 貴方と貴方の党は、負のブラックスワンから断絶され、正のブラックスワンから恩恵を受ける機会にすべての人が恵まれた弾力ある社会に向けた唯一の希望かもしれません。というのは、私は、オバマ政権がこの金融危機を修復し、将来の再発を防ぐ能力に絶望しているからです。私は同政権が創り出している危険、および、今回の危機に責任のある当の経済エスタブリッシュメントが政権を支配していることに愕然としています。 ブラックスワンとは何でしょうか? それは低い確率で起きる影響の大きな出来事で、稀にしか起きず、起きる状況も不安定なため、リスクとリターンという科学的手法では評価することがで
10月13日、前原国土交通相は、羽田空港の24時間国際ハブ空港化を進めたいとの見解を示した。写真は羽田を飛び立つ日本航空の機体。9月撮影(2009年 ロイター/Toru Hanai) [東京 13日 ロイター] 前原誠司国土交通相は13日午前の閣議後の会見で、羽田空港と成田空港を一体運営することで羽田の24時間国際ハブ(拠点)空港化を進めたいとの見解を示した。 成田空港の発着枠が不足するなかで、国内・国際線を分離するこれまでの「内際分離」を見直し、地方から韓国の仁川(インチョン)空港経由で海外に渡航するケースが多い現状を打破するのが狙い。14日には千葉県の森田健作知事と会い、趣旨を説明する。 前原国交相によると12日に会談した大阪府の橋下徹知事は、韓国の2倍の人口がある日本は東日本と西日本にそれぞれハブが必要との意見を提案した。これについて国交相は「日本には現状ハブがなく、インチョンがハブ
金融危機に懲りた米財務省は、銀行の自己資本比率を高めるよう世界に呼び掛けている。聞こえはいい政策だが、貸し渋りや景気回復の遅れを招くのではないか。専門家2人に聞いた。 ■リチャード・ボーブ(ロッチデール証券の銀行アナリスト) 答えはイエス。現在の自己資本比率は1936年以来の最高水準だ。昨年の金融危機の際の問題はむしろ、投げ売り同然の価格にまで下落した資産の評価損を計上しなければならないことだった。米政府のメッセージは矛盾している。銀行が貸し付けを増やしつつ、同時に資本も増強することはできない。自己資本の積み増しを命じれば、貸し付けが締め付けられるのは明白だ。 ■ダグラス・エリオット(ブルッキングズ研究所研究員) そうはならない。私の調査によると、自己資本比率の下限が4ポイント引き上げられても、ローンの金利は0・2ポイントしか上がらない。資本強化された銀行の経営が安定するメリットに比べれば
9月4~5日にロンドンで開かれた20ヵ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも、意味のある成果は1つしかなかった。「業績回復が確か」になり次第、自己資本の増強などを行うようTBTFに呼び掛けたことだ。 だがこの要求にすら、金融機関は反発している。G20財務相・中央銀行総裁会議の共同声明採択に合わせ、JPモルガンは報告書を発表。G20が提案した金融規制改革を実行すれば、ドイツ銀行やゴールドマン・サックスの投資銀行部門の収益性は最大3分の1低下しかねないと警告した。 一方、金融機関の報酬体系への批判は問題のすり替えにすぎない。政治家が報酬を問題にしたがるのは、ゴールドマン・サックスのロイド・ブランクファイン会長兼CEO(最高経営責任者)が労働者層の2000倍もの収入を得ていることを知れば、誰もが衝撃を受けるから。とはいえ高額報酬は問題の原因ではなく兆候だ。 TBTFが巨額の報酬を支払うこ
JAL(日本航空)の再建問題が、大詰めを迎えている。経営破綻の噂が出て、前原国土交通相は「政府が支援する」と約束し、再建策を検討するタスクフォースを結成した。しかし具体的にどのような形で支援するかは、何も決まっていない。 JALの経営に問題があることは、以前から指摘されてきた。国営時代の「親方日の丸」体質が抜けず、労働組合が8つもある。特に今回の経営危機で争点になっているのは、支給平均月額25万円という業界最高の企業年金だ(厚生年金とあわせると約40万円)。このためJALの年金・退職金債務は約8000億円にのぼるが、このうち約3300億円の積立が不足して巨額の赤字になっており、このままでは企業買収や追加融資による再建はむずかしい。 ところがOBの組織する「JAL企業年金の改定について考える会」は、年金支給額の減額に反対する署名をつのり、9月22日、前原国交相に対して「年金の減額を融資の条件
携帯電話は常に電源が入ったネットワーク接続デバイスであり、常時ユーザが持ち歩くと言う点において、ウェアラブルコンピューティング(Wearable Computing)で語られてきたユースケースを徐々に実現しつつある。特にiPhoneはGPS/コンパス/加速度などの各種センサに加え、アプリケーション開発自由度の高さから、現時点で最も開発アクティビティの高いデバイスであると言える。 本エントリではiPhoneアプリケーションのうち、特に実世界とのインタラクションを有するものについて紹介する。地図と連動して単純に現在位置から最寄りの施設やその施設のクーポン、イベント等を検索して提示するようなアプリ、単に音声を録音したり、音声コマンドを認識して動作するアプリは多く存在するが、本エントリでは扱わない。ここではiPhoneに搭載されているセンサを一工夫して実世界を認識し新たなサービスを提供するアプリに
Twitterにおける池田信夫への罵詈雑言が酷すぎる件 http://anond.hatelabo.jp/20091011164125 これを読んで、思ったことをつらつらと。 まず、池田先生のネットに対する姿勢がよく表れている、この記事を引用させていただく。 ひろゆきは「賠償金を取る方法はない」と高をくくっているようだが、バブルの処理のときは、同様に開き直る不動産業者を警察は「競売妨害」などの罪で大量に投獄した。要は「あいつは悪い奴だ」というコンセンサスができるかどうかが問題で、そういう「国策」があれば犯罪は(よしあしはともかく)いくらでもつくれるのだ。ライブドアやWinnyには擁護論が高まったが、2ちゃんねるが閉鎖されても同情する人はほとんどいないだろう。 前にも書いたように、排泄物を見れば健康状態がわかるという意味では、2ちゃんねるにもいくらかの意味はあるかもしれません。異様な匿名志向
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く