次期国産主力ロケットとして宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めている「H3ロケット」。そのメインエンジンである「LE-9」で不具合が発覚し、残念ながら試験機1号機の打ち上げが2021年度に延期された。今回のトラブルの原因との関連はないが、LE-9で採用されたさまざまな新技術の中で、筆者が特に注目しているのがアディティブ製造(3Dプリンティング)の適用だ。アディティブ製造は一般に生産性の低さが課題でコスト面が採用のネックとなりやすいが、JAXAは逆に、LE-9コストダウンの鍵とみている。 アディティブ製造を多くの部品に適用 LE-9は、現行のメインエンジンである「LE-7A」と比べてコンポーネントの数を約20%削減し、高信頼性と低コストの両立をコンセプトに開発された。それを実現するために適用された新技術の1つがアディティブ製造だ*1。断面形状の積み重ねで立体モデルを造形するアディティ