3週間前の記事で,デンバーで行われたベーシックインカム・プロジェクトから得られた少々がっかりな研究結果に注目しておいた〔日本語版〕.さて,今度は,イリノイ北部とテキサス中部で実施されたはるかに巨大で長期的なベーシックインカムの無作為化対照実験の研究結果が出てきた.Vivalt et al. の論文から,主な研究結果の要旨を引用しておこう: 本研究では,所得の変化が原因となって人々の雇用に関わる多種多様な項目に生じた影響を検討する.そのための実験として,低所得の個人から無作為に対象者を1,000名選出し,無条件に1ヶ月あたり 1,000ドルの現金給付を3年間続けた.また,対照群として,2,000名の参加者を選出し,1ヶ月に 50ドルの給付を続けた.本研究では,詳細な調査データ・行政記録・専用スマホアプリからのデータを収集した.現金給付によって,対照群に比べて給付を除外した個人所得の総額は 1