INTRODUCTION 2003年5月9日。小惑星探査機「はやぶさ」は、小惑星「イトカワ」に向け長い旅に出た。 本体わずか1m×1.6m×1.1mの小さな体の「はやぶさ」の使命は3つ。第1のミッションは、地球スイングバイ(地球の重力を利用して「はやぶさ」の速度や軌道を変える事)によって「イトカワ」に到達すること。 第2のミッションは、地球との通信に往復約30分かかるため、色々なことを学習しながら、自分の居る場所や行くべき方向を「はやぶさ」自身で判断する自律制御を行うこと。 そして第3のミッションは、惑星がどのように誕生したのか、太陽系が生まれたころの様子を知る手がかりが残っていると考えられている小惑星「イトカワ」の”かけら”を必ず地球に持ち帰ること。 そんな「はやぶさ」を待ち受けていたのは数々の困難だった。 度重なる燃料漏れ、予期せぬ機体のダメージ、失敗を経てもなお諦めずに「イトカワ」へ