行政の透明性向上はどこへ行ったのか。民主党が予算に関する情報を恣意(しい)的に独占し、利益誘導を図っている実態が浮き彫りになっている。 平成22年度予算案が衆院を通過した2日、鳩山由紀夫首相は公共事業の「個所付け」情報が国土交通省から民主党を通じて自治体に漏れていた問題で、前原誠司国交相を口頭で注意した。 最も軽い処分だが、この決着はおかしい。情報を外部に伝えたのは党であり、小沢一郎幹事長の下で幹事長室が主導した。小沢氏や党側に対応改善を求めるのが筋だろう。「政治とカネ」の問題と同様、臭いものにふたをする姿勢はきわめて残念だ。 個々の道路や河川などの工事予算を割り振る個所付けの情報は、自民党政権時代にも族議員を通じて政府から党へと流れ、予算成立後、個々の国会議員が地元の自治体に伝えていた。 民主党を厳しく批判する背景には、長年、地元自治体を引きつける手段としてきた情報を奪われたことへの焦り