■増税は税収を減らす 東日本大震災の復旧に向け、国会論議の焦点は本格的な復興策を盛り込む第2次補正予算に移る。政府は当面の復興財源の確保と中長期的な財政健全化の両立のためには増税が不可欠との構えだ。だが、待てよ。 ◆悪代官の手法と同じ 増税して税収を増やすというのは、農民の年貢を引き上げる江戸時代の悪代官の手法と基本的に変わらないではないか。それでも増税が税収を増やし、財政均衡をもたらすならまだよい。阪神大震災(1995年1月17日)の後を例にとると、増税はむしろ税収を減らす恐れがある。 95年度に政府は3度の補正予算で計3兆3800億円の財政資金を投入した。震災により資産は10兆円規模で破壊されたが、国民全体の努力により、わずか2年間で21兆4150億円も経済規模を拡大するのに成功し、増税なしで95、96年度と税収はわずかながら増えていった。 96年度に首相となった橋本龍太郎氏は財務官