ロシア語で「東を支配せよ」を意味するウラジオストク。APEC関連会議をきっかけにロシアは再びアジアをめざす(AP) 「言い方は変だけど、まさに中国のおかげだと思うんだけどね」-。最近、東南アジアを担当する外務省幹部の1人がふとこんな言葉を漏らした。 「中国が活発に動くようになったから、米国もアジアに帰ってきたし、ミャンマーの民主化も進んだ。メディアも東南アジアの記事を大きく取り上げるようになり、われわれも仕事がしやすくなった」というのだ。 中国はこの10年、急速な経済成長を背景に東南アジア諸国連合(ASEAN)地域での影響力を拡大してきた。かつてのソ連よろしく、「膨張と共存」路線を歩むが、南シナ海のスプラトリー(南沙)、パラセル(西沙)諸島を完全に手中に収めようと画策するだけでなく、インドネシア沖合まで海軍艦船を航行させるなど「膨張」姿勢ばかりがめだつ。 日本政府は、こうした動きを苦々しく