財務省の福田淳一事務次官の辞任が、閣議で承認された。 しかし、本人も財務省も、テレビ朝日の女性社員へのセクハラを認めたわけではない。 次官は不自然かつ一貫しない言い訳を繰り返してきた。録音が自分の声かはわからない。いや、全体としてみるとセクハラではない。発覚した当初は省の聴取に「発言の相手が本当に女性記者なのかもまったくわからない」とまで語っていた。 財務官僚のトップが、かくも不誠実な態度に終始する。そのことじたいが許されまい。 さらに深刻なのは、問題をすり替えようとする政権や与党の姿勢だ。 「隠しテープでとって週刊誌に売ること自体がある意味で犯罪」。講演でそう語った下村博文元文科相が謝罪に追い込まれたのはつい一昨日のことだ。 にもかかわらず、麻生財務相はきのうの記者会見で「はめられて訴えられているんじゃないかとか、ご意見は世の中にいっぱいある」と述べた。まったく反省がないと言うほかない。