現在、日本の3G携帯電話で使われているW-CDMAおよびCDMA2000という通信方式の元になっているCDMAという通信技術は、かつて多くの人がその可能性を認めながらも、“机上の空論”とみなしていた技術だ。しかし、米QUALCOMMはこれを実現するだけでなく、3G携帯電話の世界標準として成功させる。 移動体通信技術の開発で重要な役割を果たしてきたQUALCOMMは、次世代のモバイルブロードバンド技術の開発にも意欲的で、最高のモバイルブロードバンド技術の開発を目指した。技術力では絶対の自信を持つQUALCOMMだが、壁は予想外の形で立ちはだかっていた。 同社らが中心的な役割を果たして開発を進めてきたモバイルブロードバンド技術、IEEE802.20(以下802.20)は、多くの技術者に有望と認められながらも、この壁にさいなまれ、2006年6月には標準化作業の一時中断という最悪の事態を迎える。