「大御心(おおみこころ)」とは、天皇の御心のことだ。万世一系の天皇家が受け継いできた考え方を指すとする学説もある。古来、日本の天皇は国の平穏と国民の安寧を祈ることが最大の役割であったとされる。『天皇論』を著した小林よしのり氏は、その点がヨーロッパの王族や中国の皇帝との一番大きな違いであると指摘し、天皇は「祭祀王」であると述べている。実際、今上天皇も先代である上皇も、東日本大震災などの災害や現在のコロナ禍に際し、常に国民に寄り添い、心を配る言葉を発してきた。 日本国憲法では、天皇は「国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない」(第4条)と定められているため、昭和天皇から今上天皇まで、政治的な発言はしないことが鉄則として守られてきた。それだけに、6月24日に宮内庁の西村泰彦・長官が記者会見で述べた「大御心」に大きな注目が集まり、物議を醸している。天皇が名誉総裁を務める東京オリンピッ
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