「6.文の単位は長い順に並べる」で紹介されるテクニックは、前回も指摘したように本多勝一の「日本語の作文技術」という労作で初めて原理的に説明されたテクニックだ。その事に触れず、さらにはテクニックの創始者に敬意を払わないだけでなく、使い方も間違っているという点を詳細に検討していきたい。 ここで言うテクニックを説明するために、著者は次の例文を持ち出す。 (A)彼は友人たちと先週の日曜日に桜の名所として知られる吉野を訪れた。 ではこの文章を「わかりにくい」と感じた人はいるだろうか。僕は誤解なく読めた。何故かといえば(A)には係り受けの解釈にあいまいさが入り込む余地がないからだ。 「彼は」&「友人たちと」&「先週の日曜日に」&「桜の名所として知られる吉野を」-->訪れた というように、4つの言葉が文末の「訪れる」にかかる構造だ。「受ける言葉」に複数の「かかる言葉」が存在する場合はどうならべてもいいと