「想定外」を考える 21××年、医療はAI(人工知能)やロボットによって全自動化された。Aさんが治療カプセルに横たわると全身のスキャンが行われ、脳腫瘍(しゅよう)が見つかった。AさんはAIの判断に基づき、ロボット手術による治療を選択した。だが、手術は失敗。深刻な障害が残った。AIが治療法を導き出す過程でデータにバグが起こり、ロボットが誤動作。脳が傷ついたのだ。 ◇ AIの進歩で医療における人間の役割が変わりつつある。 東京都港区の東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターでは、スーパーコンピューターとAIを使って人間の全遺伝情報(ゲノム)を解析し、これまで診断が難しかったがんの診断に役立てる研究をしている。 ゲノム解析によるがんの診断は、遺伝子のすべての変異を洗い出し、その中から有害ではない変異を除外。がんの原因の可能性がある変異を絞り込み、様々な論文などを基に治療の標的となる変異を特定す