時事評論を書いて既に20年を超える。だが、いまほど政治情勢について書くことが空しく感じられるときはなかった。 北朝鮮による人工衛星打ち上げが迫るという報道に、私は関心を持つことができなかった。北朝鮮政府を信用するからでも、その核武装が招く危険を軽視するからでもない。国外の脅威よりも深刻な崩壊が日本国内で起こっているとしか思えなかったからだ。 税と社会保障の一体改革を唱える政府与党と野党の対決が続き、政治が空転している。これまでに何度も見た光景だ。それで言えば自民党が政権を失ってからの2年半は、民主党が自民党そっくりに変貌し、自民党は民主党のような野党に姿を変える時間だった。政治学者である以上、これから先はどうなるのか、政党再編成や総選挙の展望を考えるべきところだろう。だが、その意欲も湧いてこない。 どう書いたところで、私の言葉が意味を持って受け止められている手応えがないからだ。もちろん最大