大阪社会部長 杉林浩典 1年以上にわたって国政を揺るがせた森友学園問題で、大阪地検は財務省前理財局長の佐川宣寿(のぶひさ)氏ら国側の当時の関係者をいずれも刑事罰に問わないと判断した。8億円に及ぶ国有地の値引き、国会をだました悪質な文書改ざんと意図的な廃棄。どれもが何ら罪にあたらないことに、正直、釈然としない思いを感じる。 財務省は不起訴処分を受け、週明けに調査結果を公表する。政権はこれで一連の問題に区切りをつけたい構えだ。だが現段階で言えるのは、検察は現行法の枠内で犯罪に認定しなかっただけであり、社会の良識や公務員倫理に照らして問題がなかったとの免罪符まで与えたわけではないということだ。 最も重要なのは、9割近い金額がどのような経緯で差し引かれたのか、文書の改ざんと廃棄はだれの指示でなぜ行われたのか、そのプロセスの解明にある。国の会計経理を監督する会計検査院も昨秋、地中ごみの積算根拠の不十