「こっちに来い。絶対に止めてやる」 3点リードされた八回表1死。千葉明徳の平川瑛斗(えいと)君(3年)はそう自分に言い聞かせながら二塁の守備についていた。 一、二塁間に鋭い打球が飛ぶと、ひざから滑り込んで好捕。崩れた体勢のまま一塁に送球し、2死。続く打者が三振すると、笑顔でベンチに戻った。 全力で楽しんでこい――。兄に前夜にかけられた言葉を思い出しながら。 2歳年上の兄の背中を追い、小1からソフトボールを始めた。毎朝、家の近くの空き地で父と兄と「朝練」をした。キャッチボールやノック、打撃練習……。軟式野球をしていた中学でも続けた。 しかし、中2の夏。千葉明徳野球部の1年だった兄が、片目に送球があたって失明した。距離感がつかめなくなり、選手として致命的なけがだった。 「お前は野球を楽しんでくれ」。病室では明るく言われたが、毎晩のように「なんでおれなんだ」と泣いていると知っていた。 「同じユニ
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