楽しかった。幸せだった。毎日泣きそうに美しかった。頭の中で30年間、いやそれは言いすぎかもしれない、けれどずっとずっと描いていた世界の夢に、私は一歩も二歩も近付いて、毎日まいにち、今日もありがとうって思いながら過ごしてた。 海の向こうにどんな景色があるか知りたかった。夏のクロアチアの海は、夏の北欧は、曇った日のロンドンは、原チャリで駆け抜けるミャンマーの遺跡と土の色は。 旅をするために生きてきた。と本当に思っていた。働きながら旅をする。そんなことができるのか、やれるのか、そして膨大なコストと時間をかけてやり遂げるのか、周りはみんな、どっちだってよかったと思う。 でも私だけは、どうしてもそれをやりたかった。だってそれが、私が人生で一番やりたいことだったから。 素敵な家に住む、おしゃれな格好をする、流行を追いかける、たっかいごはんを恋人と食べる。どれも私は大好きだけど、でもうっすいワンピースと