朝日新聞の若宮啓文論説主幹が11月27日の同紙のコラムで「北方領土」というタイトルで書いた一文は北方領土4島のうち国後、択捉の両島はもう放棄すべきだという主張を明確に打ち出しています。しかもこの一年という期限を切って残りの二島だけの返還を求めようというのです。 二島返還論というのも一つの主張ではあるでしょう。しかし若宮氏のこの一文はその主張を表明するプロセスで日本側では二島返還論がいかにも一貫して本流の正論であったかのような虚像を描いている点が詐術に近いトリックを感じさせます。 若宮氏といえば、竹島を韓国に渡してしまおうと提唱したことで広く知られる人物です。その人がこんどは方領土も二島を放棄しようというのです。この「一貫性」にはなにか薄気味悪い感じさえ覚えてしまいます。 若宮氏はこのコラムをモスクワでの「日本ロシア・フォーラム」に参加しての見聞を基に書いています。そのなかでは1855