緑茶飲料で後発のサントリーを、業界を牽引する存在に導いた「伊右衛門」。CMのイメージから福寿園を“京都の小さな老舗茶屋”と思っている人も少なくないが、実際には大規模な茶工場を構える年商121億円の企業。200年前の創業者が、福井伊右衛門だ。その名前をサントリーのペットボトルに冠する判断をしたのが、8代目で現会長の福井正憲。福井は、老舗として磨いてきた技術力とブランドを守りながら、大量生産品にも挑戦する“二兎を追う経営”で生き残ってきた。大胆な挑戦の象徴が、京都にそびえる福寿園の本店。客の好みにあわせるオーダーメード茶の販売から、茶葉を料理に取り入れたフランス料理まで…6つのフロアで様々なお茶の楽しみ方を満喫できる本店は、まるでお茶のテーマパークだ。「伊右衛門」誕生の舞台裏を始め福井流“老舗の革新”経営の真髄に迫る。 会長の福井が27歳の時、6代目の父親が若くして死去。その後、福井は兄と2人