わたしには、友だちがいなかった。世のなかにいろんな情あれど、友情は特にすばらしい。 そんなことはわかっている。 そこらへんの漫画本も、トレンディなドラマも、いやになるほど流れてる歌も、友情はいいぞと言ってくるのだから。 そうは言っても、思い当たる友だちがいない。 作家になってから人と会う回数が増え、ありがたいことにごく薄い友情のようなものを何人かと結べたけど、それ以外はさっぱりだ。2年以上、友だちを保てたことがない。学校の同窓会にも、友人の結婚式にも、ろくに出席したことがない。お呼びでない。 開き直って孤高の一匹狼になれたらいいけど、わたしは相応のみみっちさを搭載している、相応の人間なので、相応な劣等感にまみれている。 っていうかこれ書いてるだけでも、恥ずかしくてたまらんわい! みんなが口をそろえて、友情は持つことは素晴らしく、友情を育てることは当たり前だと言うのに、それらしきものを持って