戦後復興と高度成長を支えた輝かしい言葉、メード・イン・ジャパン。かつて「粗悪品」の代名詞だったそれを、先人たちは「高品質」を表す言葉に塗り替えた。日本で、日本人が生み出すからこそ、実現できる価値があると信じてきた。 だが、経済が国境を容易に越えていく今、「日本」へのこだわりと過度の矜持は、ただ感傷的な懐古と驕慢を呼ぶにすぎない。 攻めの2014年、世界に経営を開くために本誌が提起したいのが、「メード・ウィズ・ジャパン」の3語だ。 世界中の人や組織が、「日本と共に」価値を生む――。ここでは、紙幅の関係などで日経ビジネス1月13日号の特集「メード・ウィズ・ジャパン」で掲載し切れなかった事例を通じて、日本が今後10年にわたって成長を続けるための条件となる「メード・ウィズ・ジャパン」というテーマを改めて訴えたい。 米国で誕生し、1973年に日本へ輸入された小売りの業態であるコンビニエンスストア。上
日経ビジネスは2006年6月5日号で「リクルート」を特集し、取材の一環として創業者の江副浩正氏に、インタビューを実施した。今年の6月12日で70歳になる江副氏に、リクルートへの思いなどを中心に語ってもらった。 ―― 創業者としての江副さんにお伺いします。改めて、リクルートという企業の強さ、あるいは競争力の源泉は何だとお考えですか。 江副 そうですね。あえて言えば、社員が就職、転職、住宅情報提供など、社会にとって有益な仕事をしていると実感していること。それと、「2位になることは我々にとっての死」と言い続けてきたことでしょうか。 ―― 「2位になることは我々にとっての死」とは、具体的にはどういうことでしょう。 江副 メーカーであれば、いいものを作っていれば、小さくても優良企業という存在はあり得るでしょう。しかし、情報誌というものは、ナンバーワンが圧倒的に強くて、2位以下とは雲泥の差があるもので
『紳竜の研究』というDVDがある。そう、漫才の紳助・竜介の紳竜だ。彼らの全盛期の演目をDVD化したものに加えて、紳助が、漫才師志望の吉本の後輩たちに対して、「プロの芸人とは何か」「売れるためには何が必要か」「どのようにして、自分の(芸人やタレントとしての)価値を上げていくか」といったことについて講義した内容も入っている。この後者の中味が、大変面白い。 例えば、売れるために必要な「XとYの法則」というものが語られる。「競争の中で勝ち残り続けるには、『他とは違う自分独自の特色(=X)』と『世の中のトレンド(=Y)』を、どう合致させるかが大事。凡百の一発屋が消えていったのは、Yが変化しているのに気づかず、それに応じて、自分のXを進化させきらなかったから」──。まるで、企業の競争戦略そのもののような話が、具体例を交えて、実に説得力を持って語られる。 ちなみに、漫才の世界で勝ち上がる過程では、(当時
世界を覆う矛盾への怒りが番狂わせを呼び、それがさらなる混沌を生んだ2016年。 正念場を迎えた世界の不安を希望に変えられるのは、人のエネルギーだけだ。 それぞれの立場で難局に挑む「2017年日本に最も影響を与える100人」を紹介する。
金利が上がれば国債価格は下がる 今回は、国債の問題を考えるための基礎知識を習得することが目的である。 国債を考えるとき、多くの人にとってまず最も分かりにくいのは、国債の金利と価格の関係であろう。金利は債券市場の動向によって決定される。ここで、金利と債券価格の関係をまとめてみよう。債券(ここでは通常の固定利付債券を想定する)には、預金と同様に毎期の利払いと満期の償還額(通常100円)が定められている。債券のことをfixed income(確定利回り) と呼ぶのは、将来に生じるキャッシュフローが確定しているからである。 著者が過去、国債を特集したテレビの経済番組に出演したとき、作成現場の担当者の方々も債券の価格と金利の関係が十分に理解できず、価格と金利の関係を解説する必要が生じた。テレビの作成現場でもこうした状況にあることは、その番組の視聴者の理解も多分に同様であると考えるべきだ。 テレビは、
2020年の東京五輪に向けて、この人物が今後、頻繁に登場するようになるかもしれない。 シェルドン・アデルソン氏(80歳)―。 世界に知られたカジノ王だ。米フォーブス誌によると、399億ドル(約4兆1000億円)の資産を誇る、世界第8位の資産家だ。日本が検討するカジノ構想における、最大の米国人プレーヤーでもある。 今年2月、アデルソン氏は東京で記者会見を開き、日本市場の参入にあたり100億ドル(約1兆円)を準備できると豪語した。ラスベガス型カジノが日本で認可された場合、自らの資金を投入して壮大な複合カジノ施設を開発するつもりなのだ。 日本のカジノは確実にベガスをしのぐ 日本でのカジノ構想は、財政難に陥る自治体の救世主としての役割も期待されている。日本の公営ギャンブル(競馬、競輪、競艇、オートレース)の売上額は90年代初頭をピークに減少している。地域によっては廃止に追いやられた自治体も少なくな
貸ビル業者から大規模デベロッパーへと飛躍を遂げた森ビル。そのオーナー社長、森泰吉郎はおよそ経営者のイメージからは程遠い存在だ。経済学者、公立大学教授という前歴に加えて、世俗的なものへの関心はみせず、ひたすら儒教者のような顔でビルを建て続けるその姿をみるからだ。虎ノ門の大家の息子として生まれた好運を禁欲的な使命感で補強した森は、今なお事業拡大の手を緩めようとしない。 =文中敬称略= (持田 鋼一郎) 「どの家も隙間だらけで、この町ではガス自殺ができない」といわれていた港区赤坂の古い木造家屋の密集地域が、生まれ変わった。 「インテリジェント・ビルを超えたインテリジェント・シティー」と称される「アークヒルズ」である。総面積5.6ヘクタール、総事業費は約1000億円、計画から竣工まで十数年の歳月を要した。最先端機能を備えたホテル、オフィス、マンション、ホールが立ち並び、オフィスビルにはバンク・オブ
箱根に巨大美術館ができるらしい――。関係者からの情報をもとに3月某日、箱根の小涌谷を訪れた。 現場は温泉アミューズメント施設「箱根小涌園ユネッサン」と隣接する一等地。一帯は、「彫刻の森美術館」や「箱根美術館」など、競合美術館がひしめく、日本でも有数の美術館リゾートとして知られる。 しかし、国道1号線に面する3メートルほどの高いフェンスと、険しい山の斜面に阻まれ、建物の概要を把握するのは難しい。見上げるとクレーンが忙しそうに動き、着々と工事が進んでいる様子がわかる。警備員の目を盗んで、フェンスの隙間に目を凝らした。すると――。 視界には、鉄筋むき出しの巨大建造物が飛び込んでくる。「屋根」がついているところから察すると、完成後は和風の美術館になるのだろうか。鉄筋の分量もかなり多い印象だ。箱根が地震多発地帯だから、堅牢に作っていると推測される。 「一体、何ができるんだ」「もしかして、巨大リゾート
日本を代表するアニメーション映画の監督である押井守監督は、実は、組織マネジメントにおける「勝敗」についてずっと論じてこられました。たとえば『勝つために戦え!』(エンターブレイン)という本では、映画やゲームといったご自身に近い世界だけでなく、サッカーについても語っていらっしゃいましたね。 押井:もともと、「キーパー以外の選手は手を使っちゃダメ」くらいの、簡単なルールしか知らなかったんだけど、静岡人の奥さんに教育されたんです。そのうちにゲームの勝敗よりも「フットボールクラブとは、何を目的にした、どういう性格を持つ組織なのか」「監督が次々に交代になるのは、クラブのどんな状況や、条件によるものなのか」という方に興味が出てきて、いろいろ考えているうちに「サッカーの監督も映画監督も、基本的に考えていることはみんな同じだ」ということに気がついたんです。映画監督として30年ぐらいのキャリアの中で気がついた
押井 守(おしい・まもる) 映画監督 1951年生まれ。東京都出身。大学卒業後、ラジオ番組制作会社等を経て、タツノコプロダクションに入社。84年「うる星やつら2」で映像作家として注目を集める。アニメの他に実写作品や小説も数多く手がける。 プロフィール詳細 記事一覧 2013年11月5日 押井監督の実績が証明する、管理職の勝敗論 『欠席裁判~担当編集が語る押井守の真実』(2013年、野田真外、山下卓)【後編】 実写版「パトレイバー」を初め、急速に売れっ子になってきた押井監督。監督の人となりを知るお二人をお招きして、この状況はまぐれなのか、それとも監督が連載と本の通り、勝利条件を満たしたからうまくいったのかを... 2013年10月28日 「パトレイバー」実写版監督、押井守の勝敗論を暴く! 『欠席裁判~担当編集が語る押井守の真実』(2013年、野田真外、山下卓)【前編】 「機動警察パトレイバー
名言~日経ビジネス語録 社員への投資は「知恵の原価」であると考えています。 森 雅彦 DMG森精機社長
2015年1月、池上彰さんは教鞭をとる東京工業大学の図書館にて「新聞の読み方」を講義しました。池上さんは、毎朝必ず、全ての全国紙と日本経済新聞を読み比べているそうです。ついでにいうと小学生新聞も。 「元日の新聞を読み比べると、面白いくらい新聞がわかる」 池上さんはそう力説します。今回は、朝日、読売、毎日、日経、産経、東京の6紙の元日朝刊を読み比べながら、こんなことを学生たちと考えてみました。 あえて「紙の新聞」を各紙読み比べるのはなぜ? 特ダネってどう生まれるの? 正月企画ががらりと違うのはなぜ? 新聞によって入っている広告が違う理由は? 例の朝日新聞問題、池上さんの率直な意見は? で、結局のところ、新聞って必要? 学生はもちろん、新年度を迎えたばかりのビジネスパーソンにもばっちり役に立つはず。池上さんの「新聞のススメ」はじまり! 池上 彰 (いけがみ・あきら)さん ジャーナリスト。195
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多くの国民が日本最高の頭脳と信じている日本の霞ヶ関官僚。政治家もメディアも彼らに対する不満を漏らすものの、日本最大のシンクタンクとして当てにしている。しかし、彼ら自身は、他国の官僚たちと競う国際舞台で、彼我の力の差を見せつけられて自信をなくしている。 高度成長時代は欧米に政策立案のモデルがあった。だが、グローバル化、テクノロジーの進化、高齢化などの変化が史上最大のスケールとスピードで進む現在、霞ヶ関官僚たちは、率直に言えば、何をやればいいのか分からなくなっている。 そして、自分たちの国に有利なゲームを展開できるように、世界の官僚たちが仲間作りをしている時に、霞ヶ関官僚たちはネットワーキングの機会さえ失っている。 その背景には政治と政府の無作為があると思う。公務員制度改革が叫ばれるものの、公務員の力を引き上げる施策はない。官僚バッシングと同義語になっている。その裏には、政治家と官僚がつぶし合
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