ブックマーク / idsc.nih.go.jp (8)

  • 被災地・避難所の感染症対策における衛生昆虫の問題点

    東北地方太平洋沖地震によって発生した津波は、福島県、宮城県、岩手県、青森県など太平洋沿岸の多くの地域を襲い、4県合わせた被災面積は約400km2に達しました。地表面に存在したほぼ全ての構造物を押し流し、その結果として、想像を超える瓦礫の山が形成されました。この津波被害で特徴的な点は、漁港周辺において、多数の海産物の冷凍貯蔵施設が破壊され、推定数千トンの魚介類が津波によって内陸地域に押し流され、また、相当量の魚介類が冷凍庫内で腐敗したことです。これら腐敗した魚介類を好んで餌とするハエ類が大発生し、5月中旬から大きな問題となりつつあります。このような自然災害において、初夏から晩秋にかけて、衛生昆虫類がどのように発生し、実際、感染症の発生に関わる可能性があるのかを以下に概説します。 ハエ類には、瓦礫の中の生ゴミ、津波で広範に押し流された魚介類、有機物の多いヘドロ、打ち上げられた海藻、動物の排泄物

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    abekoji 2011/06/11
  • 被災地・避難所における感染症発生情報の探知支援システムに関して

    東日大震災発生から約1ヵ月が過ぎ、各被災地の公衆衛生に関わる環境の多くが激変しました。依然として非常に多くの住民の方々が身を寄せている避難所においては、集団生活が長期化するに従い、急性下痢症やインフルエンザなどを始めとする感染症の散発、時には集団発生が知られるようになっています。これらの情報の探知体制(サーベイランス)・対応が、避難者の方々の健康を守るうえで非常に重要になってきました。 これら避難所には、元の居住地と異なる場所での生活を強いられている方々が多数含まれていることなど、地域の人口集団の特徴は震災前と異なっていることも少なくないはずです。また、地域によっては、感染症発生情報を収集・発信するべき医療機関の機能が失われていたりするなどの状況もあるかもしれません。 被災地における通常のサーベイランスの復旧までの道筋において、また被災地とは限らないものの時には1,000人以上の方々が集

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    abekoji 2011/04/22
  • 被災地における麻しんについて(国立感染症研究所感染症情報センター)

    麻しんは「はしか」とも呼ばれ、麻しんウイルス( Paramyxovirus 科 Morbillivirus 属)によって引き起こされる感染症で、39℃前後の高熱と、咳・鼻汁・目の充血(カタル症状)、耳介後部から始まって顔面、体、四肢へと広がる赤い発疹を特徴とする全身性疾患です。麻しんウイルスに対して免疫を持たない者が感染した場合、典型的な臨床経過としては10~12日間の潜伏期を経て発症し、カタル期(2~4日間)、発疹期(3~5日間)、回復期へと至ります。発生頻度は低いものの、麻しん脳炎(麻しん患者1,000人に1人)や、罹患後7~10年の期間を経て発症する亜急性硬化性全脳炎(SSPE、麻しん患者10万人に1人)などの重篤な合併症になったりします。また麻しん肺炎は比較的多い(麻しん患者10人に1~2人)合併症で麻しん脳炎とともに2大死亡原因といわれていますが、先進国であっても1,000人に1

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    abekoji 2011/04/16
  • 被災地におけるつつが虫病について

    つつが虫病(ツツガムシ病、恙虫病)は、病原体(リケッチア)を有するダニの一種であるツツガムシの吸着により起こります。農作業、山林作業、土木作業、レジャーなどの活動の際、土の中で生活するツツガムシに刺され、その5~14日後に発症します。生活環境が自然豊かな場合、自宅周辺で刺され感染することもあります。つつが虫病の発生は、春と秋の二つのピークがあり、今回震災により大きな被害が発生した東北地域では、春の患者発生が多く報告されています。 平成23年3月に報告された福島県の症例<速報>は、震災の前に感染、発症しました(http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3741.html)。福島県は春と秋の二つのピークがあり、この発生報告は、震災した東北地域の春のつつが虫病シーズンが始まったことを意味し、臨床現場では注意が必要です。また、洪水などの土砂災害により、有毒ツツガムシが生

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    abekoji 2011/04/02
  • がれき撤去作業等の際の感染予防について(国立感染症研究所感染症情報センター) )

    がれきの中には、先のとがったもの、釘や棘の出ている木材など、けがをしやすいものが含まれています。その多くは、泥や海水などにつかっているため、表面が汚染され、けがをした場合、感染を起こしやすくなります。(参照:創傷関連感染 http://idsc.nih.go.jp/earthquake2011/2011pdf/20110316risuku02.pdf) 地震や津波で壊された建物を撤去したり、下水などがあふれていた場所で汚泥の撤去作業を行う場合、以下のことに注意を払うことで、けがをすることに伴う創傷関連感染症や、水や土壌等に直接触れることによる経皮感染、感染性のある塵埃やエアロゾル等を吸入することによる呼吸器感染等を予防することができます。 作業をするときは、けがの防止のため、素肌を露出しない裾の広がらない服装(長袖、長ズボン)で行い、破れにくい丈夫な手袋、長、安全などを身につけて、水や

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    abekoji 2011/04/02
  • 被災地におけるレプトスピラ症について

    レプトスピラ症は、ネズミなどの保有動物の尿中に排出された病原性レプトスピラに汚染された環境(水や土壌)との接触によっておこります(経皮・粘膜感染)。またネズミ尿に汚染された飲物を摂することで感染することもあります。 レプトスピラは海水中で長期間生存することはありませんが、今後、震災により発生した、あるいは避難所から発生するゴミの回収困難などによる衛生環境の悪化によりネズミ等が増加することも考えられ、感染機会の増加が懸念されます。また震災により普段は使用していなかった井戸水を使ったことによる感染も報告されています1)。 レプトスピラ症は、インフルエンザ様の軽症型が多いとされていますが、黄疸や腎不全を伴う重症型もおこります。治療にはペニシリンGやドキシサイクリンなどの抗菌薬が用いられますが、ペニシリンを用いた場合はJarisch‐Herxheimer 反応(抗菌薬投与後に起こる、破壊された

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    abekoji 2011/03/30
  • 東日本大震災-読者のコーナー

    ※感染症発生動向調査週報の「読者のコーナー」にご寄稿をいただいた文書を掲載しています(IDWR 2011年第10号掲載予定)。 東北地方太平洋沖地震の被災地ではなお多くの被災者が衛生状態の万全ではない避難所での生活を余儀なくされており、感染症の流行が危惧されている。特にインフルエンザはすでに避難所での感染も確認されており、今後さらに流行が広がる恐れもある。今回我々は震災後に、インフルエンザウイルスを仙台市とその周辺で検出したので報告する。 検体は仙台市およびその周辺から採取された59件の咽頭もしくは鼻咽頭ぬぐい液、およびインフルエンザ迅速診断キット残液である。A型インフルエンザ(H3N2およびH1N1pdm)の検出および判別はConventional RT-PCRを行った。採取された検体を適切な輸送培地中で輸送できた検体は少なくそのために検出感度は高くなかった。しかし、合計で21件の検体が

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    abekoji 2011/03/24
    題:東北地方太平洋沖地震後の仙台市とその周辺での
  • 公衆衛生上の観点からのインフルエンザ対応および感染性胃腸炎対応の優先順位の考え方

    災害などの医療資源が限られた状況下では、流行病等(例:インフルエンザ、感染性胃腸炎)への公衆衛生上の観点からの対応策の決定について優先順位マトリクスを利用する場合があります。以下のような目的となっています。 最も効果が期待できる対策を抽出 実行のためのCapacity(予算、人員、物資等)が限られている場合に優先順位を決定 保有するCapacityで最大の効果を提供 2項目の評価基準項目(重要度と実施可能性、重要性と緊急性、費用と効果ニードと実効性など)を選び、高低を検討、優先的な対策を決定します(図1のa.が該当)。 今回、それぞれの被災地・避難所の状況は異なると予想されるものの、3月22日現在で、当センターが知り得た避難所等の様子をまとめて、概念的に一般化した情報に基づいています。よって、各地域・避難所において、それぞれの優先順位の内容が変わることがあり得ます。

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    abekoji 2011/03/24
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