1月24日公開の廣木隆一監督『さよなら歌舞伎町』を見て、久しぶりに映画らしい映画を見た気になった。原作ものではなく、映画のために練り上げられた脚本を、映画らしいじっくりとした描写で見せてくれたから。 今年の邦画は『TOKYO TRIBE』とか『渇き。』とかもうすぐ公開の『日々ロック』のような、勢いだけのようなものが多かったせいか、あるいは東京国際映画祭で我慢大会のような映画が多かったからなのか、こんな映画が見たかったと思った。 物語は歌舞伎町のラブホテル「ホテル・アトラス」を舞台に、ある日そこに集ういくつものカップルを描く、いわば「グランド・ホテル形式」。主人公はその店長の徹(染谷将太)で、集まるカップルの裏にあるリアルな人間模様を見る。 恋人に内緒でデリヘリで働く韓国人のヘナ(イ・ウンウ)とその客(村上淳)。家出した女子高生を騙してデリヘリ嬢にしようとする男。AVの撮影にやってきたのは徹