トップ > Chunichi/Tokyo Bookweb > 書評 > 記事一覧 > 記事 【書評】 平成経済 衰退の本質 金子勝(まさる)著 Tweet 2019年6月9日 ◆自民党政策の失敗を突く [評]中沢孝夫(福井県立大名誉教授) 平成の三十年を「政策の失敗」の歴史として捉えた“怒りの本”である。著者の指摘は金融政策、財政政策をはじめとして広範に及んでいる。ただ、基本的には自民党の政策がいかに(不作為の罪を含め)間違っていたかを記録、主張したものである。 例えば著者は、バブル崩壊以降の長期にわたった金融危機について大幅に頁(ページ)を割いている。たしかに宮沢政治、そして小泉・竹中ラインによる政策は、金融秩序の再生と安定の基本である不良債権処理を遅らせ、政策はジグザグと不透明さに満ちていた。それは本書が主張するとおり、平成経済の「衰退」の大きな原因の一つであるし、新自由主義的政策の失