肥満は、体が消費する以上のカロリーを摂取するために起きる。摂取しても使い切らなかった分のエネルギーが、脂肪として体に蓄えられるから太るわけだ。体が使うエネルギーとしては、安静にしていても消費される「基礎代謝」のほか、運動のときに筋肉が使うものなどがある。 最近の研究により、基礎代謝で使われるエネルギー量は、「肥満遺伝子」と呼ばれる遺伝子によって、ある程度左右されることが分かってきた。つまり、肥満は生活習慣だけでなく、遺伝的な要素も関与するというわけだ。 現在、人では50を超えるタイプの肥満遺伝子があることが明らかにされている。京都市立病院糖尿病・代謝内科部長の吉田俊秀氏らの研究によると、このうち日本人に関係する主な肥満遺伝子は3つある。それらは、β3アドレナリン受容体(β3AR)、脱共役たんぱく質1(UCP1)、β2アドレナリン受容体(β2AR)――の遺伝子の変異によるものだ(参考記事