日本銀行が、2013年に異次元の金融緩和政策を始めて、すでに5年弱が経過している。筆者自身は「異次元緩和」というよりも、他国同様の金融緩和を遅ればせながら行ったにすぎないと考えているが、世間ではこの金融緩和政策に対して批判的な意見がなお根強い。批判はいくつかに類型されるが、その中の1つに「金融緩和によって資産価格が上昇し経済格差が拡大する」、というものがある。 日本の家計の中では金融資産の保有にばらつきがあり、60歳以上の高齢世帯を中心とした限られた層が金融資産のかなりの部分を保有しているのは、よく知られている。株式など金融資産を持つ者と持たざる者の格差が、個人の資産選択に依存する部分が大きいとしても、株高によって短期的に広がるのは事実である。経済格差拡大がここ数年注目されているから、このわかりやすい点に目が行くのは仕方ないかもしれない。 この5年で「貧困率」は低下、「格差」は縮小している
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