若さの勢い。 何かを成す者に一度は訪れるものであり、そこで「機会の窓」を開いた者が何かを成す。将棋界でいま一番若さの勢いがあるのは藤井聡太七段で疑う余地はない。朝日杯将棋オープン戦の連覇は記憶に新しいところだろう。 遡ること9年、若さの勢いで一気にタイトルを奪取した若手棋士がいた。広瀬章人現竜王だ。 2010年、第51期王位戦の予選を勝ち抜き挑戦者決定リーグに入った広瀬五段(当時)はプロでは廃れていた四間飛車穴熊を武器に、リーグ最終戦で渡辺明竜王(当時)との同星決戦を制して挑戦者決定戦に進み、もう一つのリーグを制した羽生善治名人(当時)を撃破してタイトル挑戦。七番勝負では深浦康市王位(当時)を4勝2敗2千日手でくだし、勢いのままタイトルを獲得した。23歳のときだった。 プロ入りを決めた瞬間に「次は遠山さんに上がってほしいです」 筆者が広瀬竜王を初めて知ったのは、奨励会(プロの下部組織)に所
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