山崎貴という作り手を、後世の人はいったいどのように評することになるのだろうか? 彼は今や日本を代表するヒットメイカーとなり、多くの有名俳優たちが起用してくれと直談判するほどのセレブリティだ。しかし、何か様子がおかしい。この奇妙な感覚は気のせいかもしれないが、山崎の師匠筋にあたる伊丹十三が映画監督として全盛期を迎えた1980年代後半から1990年代前半にも身に覚えのある感覚である。伊丹十三の活躍には常に得体の知れない空虚が付きまとっていた。一方、山崎のキャリアについて言えば、2000年の監督デビュー作『ジュブナイル』の頃がじつは最も無邪気に「意外といい映画だよ」という評言が飛び交っていたように思える。その後の作品のうち、『ALWAYS 三丁目の夕日』3部作(2005~12)、そして『永遠の0』(2013)で、山崎貴の運命は大きく変わった。何がどう変わったのか? 日本でもうひとり、VFX分野で